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ハンマースホイ展
ここ数日酷かった眩暈がなくなり、ようやく元気になったので、SugarCheapさんの評を読んで興味を持ったヴィルヘルム・ハンマースホイ展に行って来た。久しぶりの上野。久しぶりの国立西洋美術館。

ほんとうは常設展も見たかったのだけれど(見たことない)、結局、3時から5時半の2時間半、たっぷりハンマースホイに費やした。こういう混みそうな(予想よりは混んでいた)展覧会は、終わり3時間くらいを狙って行くのが好きだ。一周目はすべての絵を見る。見終わったら最初に戻って二周目、気に入った絵を色々な距離から見る。二周目に入るころは終了間際なのでひとが少なく、遠くからでも絵の全体像を捉えることができる。

感想。

会場に入ってすぐの壁、一番最初に展示してあったのが、画家の妹アナ・ハンマースホイの肖像画だ。17歳(確か)の少女が、まるでこころがここにないような、なにか夢見ているような表情を見せている。その表情、視線の方向、淡い色彩、それらのせいだろうか、絵全体から、美しいけれど、どうにもつかみどころのない印象を受ける。

アナの表情にこころを残しながら、足を進めていく。そこに並んでいる絵(特に前半のもの)は、全体がある一定のトーンで統一されている。青みがかった灰色の中に、すべてのものが沈んでいるのだ。絵によっては、ずっと見ていると、まるで自分の目が、明るい原色を受け取れなくなってしまったかのような、どんどん目が見えなくなっていくかのような印象さえ受ける。すべてのものが、画家の持つフィルターの向こう、独特の色彩の中に静かに沈んでいる。

それらの絵を十点ほどみてすぐに、「この色彩、どこかで見たことがある」と思った。しかしどこでなのかが思い出せない。しばらく頭をひねって思い当たったのは、「夢の中」だった。そうだ夢だ。夢の中、静けさに覆われて世界が霞んでいる。それだ。

ああ、このひと(画家)は、夢を見ているのだ。妹アナでなくまさにこのひとが、夢を見ていたのだ。そう思った。近頃思うのだけれど、わたしは絶え間なく過去を食んで生きている。そしてそれとは別に、ひとはみんな、夢を見ながら生きている。そう、この画家も。

そんなふうに思ってからは、「つかみどころの無さ」は喉のつかえがとれたかのように無くなり、絵に寄り添えるようになった。

展の後半、ハンマースホイの愛したモチーフ「部屋」が多く出てくると、それまで灰色に沈んでいた絵の中に、「白」い「光」が差し込んでくる。白いカーテン、白いドア、窓からわずかに差し込む光そのもの。絵全体に華やかさがない分、「白」の重要さが際立っている。画家は、目を覚まそうとしているのかもしれない。でもやはり(おそらくはずっと)夢の中にいるのだ。そんなことを思った。

もうひとつ感じたことは、遠くから見たときに、このままこの距離で見ていたいと思わせる画家だということだ。どういうことなのかうまくは言えないけれど、大抵の絵は、遠くで見ると「もっと近づいても見てみたいなー」と思う。しかし彼の絵は、もちろん近くで良く見たいとも思うのだけれど、「この距離でずっと見ていたい」とも思うのだ。

総評。とても良かった。感動、とは違うのだけれど、ああ良いなあ、としみじみ思わせるものがあった。

JUGEMテーマ:美術鑑賞
| なつき | 美術 | 20:03 | comments(3) | trackbacks(0) |
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こんにちは。
言われてみれば、夢かも。けっして主張しない、でもとても独特で個性的な絵画だと思います。
ところで、国立西洋美術館の常設展はもう何年も見てないですけど、むかし軽い気持ちで入ったらへろへろになりました。量が多くて。
| SugarCheap | 2008/11/18 11:30 PM |
ハンマースホイですか?なんか変な名前ですね。ソ連の戦闘機みたいな名前ですね。
思い出しました。私以前ゴッホ展を万博公園に見に行ったんです。実際に見たことがある方はわかると思いますが、ゴッホの絵は絵の具が彫刻のように盛り上げてあって、それがかなりの効果をあげているんです。それで、私が近寄ってその絵の具の盛り上げ方を観察していたら、近くにいたバカップルの男の方が、「絵は2mは離れてみるもんだ」みたいに聞こえよがしに、彼女に言ってるんです。私そいつを殴ってやろうかと思いました。
それから、喫茶室で休んでいると、休日だったので、混んでいたので、テーブルがない父子連れが、「ここ、いいですか」と言ってきたんです。どうぞと答えて同席していると、その父子の態度がだんだんデカくなってきて、しまいに私をじゃま扱いにしだしたんです。しょうがないので、私は退散したんですが、美術館ってだいたいそんなもんですよね。
| 松田 | 2008/11/19 12:11 AM |
>SugarCheapさん
わーい、こんにちは!
ハンマースホイ、ほんとにとても良かったです。SugarCheapさんの素敵文章のおかげで、良い美術展に行くことができました。嬉しいです。ありがとうございます!

常設展、やっぱりボリュームあるのですね。時間も無かったし軽い気持ちで行かなくて良かった。今度、しっかり心の準備して行きたいと思います。

>松田さん
あらら、そんな目に合わせてしまってすみません……。と、美術館の代わりに謝りたい気持ちでいっぱいです。そんなに悪い奴でもないんですよ、美術館くん。わたしは大好きです。特に、空いている美術館。ゴッホなんかが来ちゃうとやっぱり混みますよね。混むと色々辛いです。

2mの彼は、きっと彼女の前でいいかっこしたかったのだと思います。近寄ってゴッホのあのタッチを確認したいという欲求を抑えられるほどに。父子は……まあ、どうか許してやってください。ぺこり。
| なつき | 2008/11/19 9:51 PM |









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